我が家にはあと数日で大阪府の公立高校を受験する息子がいます。
大阪府の入試制度は数年ごとに改正され、現在の入試制度はやや複雑です。
私は生まれも育ちも大阪なのですが自分自身が受験した時と比べて複雑で、3年前の長女の入試の時は自分の時とあまりの違いに驚きました。
そこで現在の大阪公立高校入試について、受験生の母親目線で感想を交えながらお伝えしようと思います!
大阪府の入試の特徴
大阪府公立高校の学区撤廃
先ず一番の衝撃は学区の撤廃です。
私が受験した30年以上前は9学区に分けられていましたが、2007年に4学区に統合され更に2014年に学区が廃止(撤廃)されました。
これにより大阪府のどこに住んでいても、どの公立高校でも受験できるシステムになりました。
ただ、通学時間の関係であまりにも遠いところは基本的に行かないので、学区が撤廃されても旧学区の範囲で選ぶ受験生も多いと思います。
特別選抜と一般選抜
特別選抜の入試は体育系やグローバル系や芸術系など一部の専門学科と総合学科(エンパワメントスクール)です。
学力検査に加え実技検査や面接もあるようです。
長女も長男も特別選抜に縁が無かったので、未だに制度をよくわかっていません(^^;)
特別選抜は私が受験した時代もありましたが、おそらくコロコロと制度が変わっていると思います。
特別選抜以外の一般選抜は普通科や商業・工業科、文理学科などです。
大阪府の文理学科とは?
文理学科とは簡単に言うと大阪のトップ10校のことです。
またの名を「グローバルリーダーズハイスクール」と言います。
2011年に新たに設置されました。
普通科との違いは一言でいうと私立の特進コースみたいなものです。
文理学科はハイレベルな授業が受けられ、難関国公立大学への合格率の向上を目的にカリキュラムが組まれています。
文理学科の10校は以下の通りです👇
- 北野高校
- 天王寺高校
- 茨木高校
- 三国丘高校
- 大手前高校
- 高津高校
- 四條畷高校
- 豊中高校
- 生野高校
- 岸和田高校
偏差値はいずれも70台(前後)で、北野高校に関しては76と言われています。
※五木模試の資料を参考にしています
大阪府 公立高校入試 一般選抜概要
ここからは大阪府の公立入試の一般選抜(普通科や商業・工業科、文理学科など)の概要をお伝えします。
入試は調査書(内申点)と当日の学力検査の総合点で合否が決まります。
願書と共に「自己申告書」を提出しますが、これはボーダーゾーンにかかった時の合否判定に利用されます。
大阪の公立高校入試 ボーダーゾーンとは?
入試の合否は調査書と学力検査の総合点で高得点順に決まります。
例えば定員が100名の高校では単純に考えると、総合点の高い受験生1番目から100番目までが合格!と思いますよね?
だけど以下の図のようにボーダーゾーンというものが存在します。
定員が100名でも101人目を問答無用で不合格にはしません。
一旦、定員の110%までを判定対象とします。
ただし、1番から90番目の90人はそのまま高得点順に合格となります。
91人目から110人目がボーダーゾーンとなります。
定員100名中の残り10名の枠を、ボーダーゾーンにのった受験生の中からふるいにかける感じになります。
ボーダーゾーンに入った受験生は、願書と共に提出した自己申告書や調査書の記載内容により、その高校のアドミッションポリシーに合致するかどうかを総合点に関わらず判定されます。
例えば100人目の合格者と不合格だった101人目の総合点が逆転している可能性もある訳です。
ボーダーゾーンでふるいにかけられて勝ち残るには、他の受験生より誇れる実績などが必要になります。
上記のように人に誇れるような実績があれば、自己申告書でアピールできます。
また受験する高校のアドミッションポリシーを読み込んで、自分がいかにその高校の生徒像にふさわしいかを自己申告書でアピールする事もできます。
そういう実績も無くアドミッションポリシーからかけ離れている場合は、得点のみで合格を目指すために定員の90%に入る必要があります。
☟ここからは私自身の考えなので文字を小さくします(^^;)
実際には募集人数(定員)が300名とすると、271~330位の60名を自己申告書等で判定するのは大変です。
だから、もしかしたら5%くらいの人数(30名)、若しくはそれ以下の人数をボーダーゾーンとしている高校もあると思います。
内部のことはわかりませんが..(^^;)
調査書は学年末評価(3学期)
入試の合否は総合点で決まりますが、そのうちの1つ調査書(内申点)についてです。
調査書は中1から中3の成績のうち、3年生の成績が重視されます。
それぞれの学年で1学期と2学期の評価に3学期のテスト等を考慮し、学年末に学年評価として評定を出します。
比率は以下の通りです👇
中1:中2:中3=1:1:3
中1・中2では..
9教科×5段階評定×2倍=90点満点
中3では..
9教科×5段階評定×6倍=270点満点
9教科の成績が3年間オール5の場合は450点になります。
中3重視型なので中1・中2の「5」と中3の「5」では価値が違います。
大阪府のチャレンジテスト
また大阪府には「チャレンジテスト」というものがあります。
これも複雑なシステムなので詳細は割愛しますが、簡単にいうと中学校の地域性による評定差の不公平を無くすために存在していると思います。
大阪府は北摂地域に学習意識の高いご家庭が多く存在しているので、そのような地域の中学校の評定「5」とそうでない地域の「5」ではこれまた価値が違うとか..
ちなみに我が家は大阪市内ですが、同じ市内でもやはり地域により随分違います(^^;)
入試当日 学力検査
入試当日の学力検査も調査書と同じく450点満点です。
国・数・社・理・英の5教科×90点=450点になります。
大阪府公立 難易度別「A・B・C問題」
大阪府の公立入試では当日の学力検査の社会・理科は共通問題ですが、国語・数学・英語は受験する高校によってA問題・B問題・C問題と難易度が違います。
- A➡基礎的問題
- B➡標準的問題
- C➡発展的問題
この制度は2016年から始まったようです。
2015年度は「前期・後期」の入試制度でした。
2014年に学区の撤廃を行い、2016年から難易度別の問題を取り入れ大阪の入試制度が目まぐるしく変わっています。
この難易度別の問題は高校によって年度ごとに自由に決められます。
- 国・数・英3教科ともC問題
- 国語のみC問題で数・英はB問題
- 英語のみC問題で国・数はB問題
- 国・英はC問題で数学のみB問題
- 国・数・英3教科ともB問題
- 国・数・英3教科ともA問題
上記のように様々なパターンがあります。
大阪府公立入試 英語の点数保障
先ほど述べました通り大阪府の公立入試では、各高校の国・数・英は難易度別となっていますが、英語に関しては特例があります。
英語の試験に関しては外部検定スコアの点数保障があるのです。
「TOEFL iBT」「 IELTS」「英検」のスコア等が以下の場合、出願時に申請するとそれぞれのパーセンテージに読み替えられます。
例えば英検の2級を持っていれば80%、英語の学力検査90点満点の8割の72点が保障されるのです。
準1級に関しては100%です。
当日もし英語で0点を取っても90点満点が保障されます。
難易度別の問題が導入されてからは、C問題の英語よりも英検2級を取得する方が容易いと言われています。
英検2級以上を取得した場合、入試当日の点数が72点あるいは90点の保障付きなので、入試に向けて国・数・理・社の勉強に専念できます。
大阪府公立入試 英語の外部検定利用者数は?
実際に大阪府の公立高校入試でこの外部検定利用者数はどれくらいなのでしょうか?
昨年9月に地域のフリーペーパーで記事が掲載されていました。
見出しに「府立トップ10校 合格への道 もはや必須の英検2級」とあります。
文理学科やそれに準ずる高校を受験するなら「もはや必須..」と周知されています(^^;)
そしてC問題を取り入れている高校でこの制度を活用した受験生の比率は、2017年から2022年度にかけてうなぎ登りになっています!
北野高校と天王寺高校に関しては、受験生の8割以上が英検2級以上を保有しています。
その他のトップ10校でも5割を超えている高校が多いです。
ただし昨年の2022年入試では、若干C問題の英語が簡単になり最低保証点に到達する受験生が37%もいたそうです。
ちなみに息子が2022年度の英語の過去問(C問題)を解いてみると、塾の先生に採点してもらった英作文とリスニング込みで64点でした。
1番低かった2018年度過去問は40点くらいしか取れなかったようです(゚Д゚;)
やはり英検2級保有の受験生には英語では勝ち目がなさそうです..
英検は高校入試の合格パスポート
ちなみに息子の友達で英検準1級保有者がいます!
準1級を中学生の間に合格できた事も凄いですが、公立入試に関しては英語の勉強は放置できるのです。
そんな友達がいる我が家の息子はというと..
英検3級しか持っていません(^^;)
部活の忙しさを理由に3級の取得後に、準2級や2級を目指すことなく中学3年生の夏になりました。
こういうのは本人のやる気の問題なので親がとやかく言っても、中学生にもなると英検を受験する・しないは本人の強い意志が必要です。
一応、準2級のテキストは用意したのですが放置されました(泣)
残念ながら我が家は親子でラクな方に流されました(^^;)
大阪の府立高校だけでなく、他の都道府県でも私立高校でも外部検定の加点等がある場合があります。
小学生くらいのお子さんでしたら、英検を進んで受験するようにご家庭でサポートされると「合格のパスポート」を手に入れたも同然だと思います(*^^*)
大阪府の公立高校の倍率タイプ
ここで大阪府の公立高校入試の一般選抜をもう一度おさらいします。
- 90%~110%のボーダーゾーンあり
- 入試の合否は調査書と学力検査を合計した総合点で決まる
- 調査書450点・当日学力点450点で合計900点が満点
- 調査書は中3重視型
- 学力検査は難易度別「A・B・C問題」で問題パターンは高校により様々
- 英語は外部検定スコアの点数保障あり
これらを踏まえて合否判定が行われますが、もう一段階ややこしい点があります。
それは、調査書と学力検査の比率が高校によって違うのです。
全部で5つの倍率タイプがあります👇
通常なら学力検査と調査書の比率が同じ450点:450点で900点が満点になります。
この学力検査と調査書の比率が同じタイプは、上記の表では倍率タイプⅢの高校となります。
- A校 倍率タイプⅠ
- B校 倍率タイプⅡ
- C校 倍率タイプⅢ
- D校 倍率タイプⅣ
- E校 倍率タイプⅤ
例えば倍率タイプⅢのC校の場合..
比率は1:1です
C校を受験した太郎くん
学力検査 400点×1=400点
調査書 400点×1=400点
==================
総合点 800点
倍率タイプⅢのC校は総合点がそのまま入試の点数になります。
900点中800点の太郎くんは余裕で合格しそうですね(*^^*)
続いて倍率タイプⅠのA校の場合..
比率は1.4:0.6です
A校を受験した花子さん
学力検査 350点×1.4=490点
調査書 420点×0.6=252点
==================
総合点 742点
倍率タイプⅠのA校を受験した花子さんは742点が入試の総合点になります。
900点中742点の花子さんもおそらく合格できそうです(*^^*)
- B校は倍率タイプⅡなので1.2:0.8
- D校は倍率タイプⅣなので0.8:1.2
- E校は倍率タイプⅤなので0.6:1.4
このように調査書と学力検査の点数に倍率をかけます。
ちなみに一覧を見ると偏差値60以上の高校は倍率タイプⅠが多いです。
当日の学力を重視するというスタンスです。
そのため調査書の点数が良くて3年間オール5だったとしても、450点に0.6をかけて270点が満点になります。
当日の学力検査の点数の比率が大きいので、その高校に余裕で合格するほどの位置にいる場合を除き、ホントに合格発表のその日まで合否はわからないという感じになります。
偏差値55から60くらいの高校は倍率タイプⅡの高校が多いです。
またⅢ・Ⅳはチラホラ見かけますが、Ⅴの倍率タイプを導入している高校は見当たりませんでした。
ちなみに我が家の息子は倍率タイプⅠの当日学力重視の高校を受験します。
英検2級は保有していませんし、国語も少々苦手です..
ただ得意の数学と理科・社会でカバーすると意気込んでいます(・・;)
共通問題の理科・社会はC問題の国・数・英に比べて易しいので、90点満点のうち80点以上を取るつもりで今は頑張っています。
学校の先生からも私立高校(滑り止め)に行く覚悟もして、最後まで全力を出し切って下さい!と言われていますので最後まで応援したいと思います(*^^*)
まとめ
以上、大阪の公立高校の入試制度について受験生の母親目線で書いてみました。
もう一度ポイントをまとめます👇
- 90%~110%のボーダーゾーンあり
- 入試の合否は調査書と学力検査を合計した総合点で決定
- 調査書450点・学力検査450点で合計900点が満点
- 5つの倍率タイプがありそれぞれに比率をかける
- 調査書は中3重視型
- 学力検査は難易度別「A・B・C問題」
- 英語は外部検定スコアの点数保障あり
これらは大阪府の公立高校の場合ですが、他の都道府県でも独自のルールがあるので早めに把握しておくと良いと思います。
また、我が家の息子のように「英検2級があれば..」とプチ後悔しないように、小学生のうちから英検受験がおすすめです。
中学に入ると部活で忙しいし、定期テストの勉強や3年生では実力テストもあります。
その合間を縫うように英検の勉強は正直厳しいなと感じます。
だけど結局はこうして受験に直結(点数保障)するので、意志が強いお子さんは是非貫き通してほしいと思います。